重説・申込(3)「重要事項説明のタイミング(2)」(但し、あくまで私見です。)

大阪の貸事務所専門不動産屋がオフィス探しの極意教えます!

重要事項説明のタイミング(1)で申し上げましたように、重説は『契約が成立するまでの間に』しなければなりません。(宅建業法35条)

では、一体いつ契約が成立したと言えるでしょうか?

世間一般的には、契約書に調印した時や契約書を交わした時と思われているケースが多いと思います。

が、民法はそう定めてはいないんです。

賃貸借契約は、いわゆる諾成契約に分類されおり、申込に対する承諾があれば契約が成立します。

契約書の作成や調印は、契約の成立には必要ありません。(意思表示の合致があれば契約成立です。)

つまりですね

『この事務所借りたいんです。(申込)』

『ハイ、分かりました。良いですよ。(承諾)』

これで、原則的に契約は成立です。

とすれば、重要事項説明は、貸主の承諾の意思表示がなされるまでにしなければならないことになります。

しかしながら、現実的には貸主の承諾の意思表示がなされた後の契約書交付直前に、形式的に重説をしているケースも少なくありません。

すなわち、このタイミングでは既に契約成立後であり、厳密に言えば宅建業法35条違反ではないかと私は常々考えております。

何れに致しましても、借りたいと思う物件が特定されれば、以後、出来るだけ早い段階で重説を行なうようOffice You KIYOでは努めていきたいと思います。

大阪の貸事務所専門不動産屋でした!

≪今回のまとめ≫

宅建業法35条(重説実施時期)の『契約が成立するまでの間に』とは、申込後貸主が承諾するまでの間と考えましょう。

≪追記≫

確かに、不動産売買の事案では、買付証明書に対する売渡承諾書を交付した事案であっても、売買は成立していないとする裁判例は複数存在します。

これを理由に、賃貸借契約も契約書にまだ判を押してないから契約は成立していない!と主張される方がいらっしゃいます。

しかしながら、いずれの判決理由も詰まるところ「合意」または「意思の合致」がないことを理由に売買契約の不成立を結論付けているように読めます。

つまり、不動産売買の契約成立要件として契約書の作成や調印自体を要求しているのではなく、単純に「買います」「売ります」の合意だけでは足りず、契約に付随する種々の条件面での合意も必要と言っているように読めます。

そのため、単に売渡承諾書の交付の一事を以って、契約成立とは出来ないと結論付けているように思います。

あくまで売渡承諾書は、売ることだけは承諾したとの意味しかもたないということでしょう。

別の言い方をすれば、もし仮に不動産売買の契約成立に契約書の作成やそれに対する調印を要件とすれば、それはそもそも諾成契約ではなくなり根本問題を覆すことになりかねないのではないでしょうか?

肝心なのは、思っている以上に早い段階で契約が成立している可能性が高いので、軽々しく行動しないよう注意した方が良いということでしょう。

(タイトル通り、あくまで私見ですので、ご了承下さい。)

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